ナフサ不足と建築業界2026.05.22
“見えない原材料危機”が住宅・建設コストを押し上げる可能性
2025年5月22日付の帝国データバンク「TDB Business View」によると、中東情勢の緊迫化を背景に、ナフサ(粗製ガソリン)の供給不安が国内製造業へ広範囲に影響を及ぼす可能性があると発表されました。
調査では、ナフサ関連製品のサプライチェーンに関わる企業は、二次流通まで含めると全国で4万6,741社。国内製造業の約3割に“調達リスク”が存在すると試算されています。
自動車や食品包装だけでなく、実は建築・住宅業界にも大きな影響が及ぶ可能性があります。
そもそも「ナフサ」とは?
ナフサは原油を精製して作られる石油化学の基礎原料です。
ここから、 ・プラスチック ・合成樹脂 ・接着剤 ・塗料 ・断熱材 ・合成ゴム ・防水材
など、多くの建築資材に使われる製品が生まれます。 つまり、住宅や建物の“見えない部分”を支える重要素材とも言えます。
建築業界で影響が想定されるもの
① 断熱材・樹脂系建材の価格上昇
住宅で使われる
・発泡系断熱材 ・樹脂サッシ ・防水シート
・配管材 ・フローリング表面材
などは石油化学製品が原料です。
ナフサ価格が上昇すると、これらの製品コストも上がりやすくなります。
特に高性能住宅ほど樹脂系材料の使用比率が高いため、影響を受けやすい可能性があります。
② 接着剤・塗料不足
帝国データバンクの調査でも、
・ゼラチン ・接着剤製造 ・界面活性剤製造
などが高い影響率として挙げられていました。
建築現場では、
・クロス施工 ・床材施工 ・外壁塗装 ・防水工事
など、多くの工程で接着剤や塗料を使用しています。
供給不足が発生すると、
・工期遅延 ・代替材料への変更 ・価格改定
が起こる可能性があります。
いや・・・ すでに起きています。
③ 物流コスト増による二次影響
ナフサ不足は単なる材料不足だけではありません。
石油関連価格が上昇すると、
・輸送コスト ・包装資材 ・保管コスト
なども上昇し、建材全体の価格へ波及します。
特に地方では輸送依存度が高く、建築コストへの影響がより大きくなる懸念もあります。
今後、住宅会社・工務店に求められること
こうした状況では、単純な価格競争だけではなく、
・安定した仕入れルート確保
・代替材料の提案力
・長期的なコスト説明
・メンテナンス性を考慮した設計
がより重要になります。
また、お客様に対しても、
「なぜ建材価格が変動するのか」
「なぜ早めの契約・着工が重要なのか」
を丁寧に説明する時代になってきています。
まとめ
ナフサ不足は、一見すると石油化学業界だけの問題に見えます。
しかし実際には、
・建築資材 ・住宅設備 ・接着剤 ・塗料
・断熱材 ・包装・物流
などを通じて、住宅・建設業界にも大きく関係しています。
これからの建築業界は、“価格だけ”ではなく、安定供給や提案力も含めた総合力がますます重要になりそうです。

